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 男性の性機能障害は一般的に「ED」と呼ばれています。これは性機能障害を意味する英語「Erectile Dysfunction」の頭文字をとったものです。日本性機能学会はEDを、「満足のいく性行為に十分な勃起を達成できなかったり、勃起を維持できなかったりすること」と定義しています。原因は多岐にわたりますが、大きく分けると「機能性ED」と「器質性ED」の二つに分類されます。

 機能性EDは、不安感、過緊張やストレスなどの心理的な問題や、うつ病、神経症など精神的な問題が原因で起こります。特に最近有病者が増加していると言われるうつ病では、EDが高い割合で起こります。

 器質性EDは、血管や神経、内分泌(ホルモン)に異常のある場合で、喫煙や糖尿病、心不全、高血圧、動脈硬化などがEDの発生に深く関連しています。最近の研究では、EDは年齢による体の衰えというだけではなく、動脈硬化と関連のある狭心症や心筋梗塞(こうそく)などの心血管疾患発症の前触れの可能性があり、心血管疾患の早期発見とその予防につながると考えられています。

 このほか、手術や薬の服用が原因になることもあります。直腸がんや前立腺がんの手術を受けた場合には、勃起を起こさせる神経や血管が損傷するために高い割合でEDが起こりますし、薬ではホルモン剤や降圧薬、ある種の消化性潰瘍(かいよう)治療剤、向精神薬などが原因になります。

 EDの診断は、問診のほか、身体所見やテストステロンなどの内分泌検査をあわせて行います。問診では、国際勃起機能スコア(IIEF5)がよく用いられます。重症度や原因によっては心理テストや動脈硬化の状態を評価する検査などを行うこともあります。心理的、精神的な要因で起こる機能性EDが疑われる場合は、精神科や神経内科の受診をお勧めすることもあります。

 EDの治療法は、血管を拡張させることで勃起時に陰茎に流入する血流量を増加させるPDE5阻害剤という内服薬が主流です。有効率は高いですが、狭心症でニトロ製剤を内服している患者や、非常に重い心不全や肝障害、腎障害のある患者には、血圧低下の副作用が強く出ることがあるので、投与が禁止されています。高齢者や、軽・中等の肝障害、腎障害の患者、脳出血を起こしたことのある患者に対しては、慎重に投与する必要があります。また、糖尿病や高血圧といった基礎疾患の重症度によっては有効率が異なる場合もあります。

 時々誤解がありますが、PDE5阻害剤は性的興奮を高めたり、刺激を強めたりする作用はありません。内服しても性的興奮が足りないときには、必ずしもEDに効果があるわけではないことに注意が必要です。公的医療保険が適用されない治療ですので、全額実費負担となります。病状によっては、注射による男性ホルモンの補充や精神的な治療が必要になる場合もあります。(弘前大学大学院医学研究科泌尿器科学講座講師 今井 篤)

EDの診断に使われる問診の質問項目

(国際勃起機能スコアに基づく。最近6カ月間の状態について該当するものを選ぶ)

1.勃起を維持する自信の程度はどれくらいありましたか?

 (A)非常に低い(B)低い(C)普通(D)高い(E)非常に高い

2.性的刺激による勃起の場合、何回挿入可能な勃起の硬さになりましたか?

 (A)全くなし、またはほとんどなし(B)たまに(C)時々(半分くらい)(D)おおかた毎回(E)毎回またはほぼ毎回

3.性交中、挿入後何回勃起を維持することができましたか?

(A)全くなし、またはほとんどなし(B)たまに(C)時々(半分くらい)(D)おおかた毎回(E)毎回またはほぼ毎回

4.性交中、性交を終了するまで勃起を維持するのはどれくらい困難でしたか?

(A)ほとんど困難(B)かなり困難(C)困難(D)やや困難(E)困難でない

5.性交を試みたとき、何回満足に性交ができましたか?

(A)全くなし、またはほとんどなし(B)たまに(C)時々(半分くらい)(D)おおかた毎回(E)毎回またはほぼ毎回

(A)は1点、(B)は2点、(C)は3点、(D)は4点、(E)は5点。合計点数によって次のようにEDの症状を分類する。

「5~7点」=重症▽「8~11点」=中等症▽「12~16点」=軽症~中等症▽「17~21点」=軽症▽「22~25点」=EDではない

<アピタル:弘前大企画・知って得する 泌尿器科の話>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/hirosaki/