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 繊維大手の帝人がICタグを用いた医療器具の管理システムを開発した。通常はタグの情報を電波を使って読み取るが、その電波が医療機器に影響を及ぼしてしまう。帝人は電波を操る特殊なシートを使って問題を克服。人手不足に悩む病院でも、棚卸しや検品が楽になると期待されている。

 専門商社の小西医療器と共同開発し、10月から大阪市の北野病院で運用を始めた。同院ではナースステーションにマスクや注射器などの備品を保管している。外箱に貼られたタグをはがして専用の読み取り機に入れると、在庫の状況が倉庫に伝わる。また、治療室の棚にはタグを読み取るシートを敷き、備品のありかや数量を常に管理できるようにした。人工知能(AI)が備品の減り具合を分析し、自動で発注もする。

 ICタグを使った在庫管理はアパレルや物流業界で徐々に導入が進んでいる。だが、医療機器がたくさんある病院では普及が進んでいなかった。帝人は繊維で培った技術を使い、電波が表面にとどまるシートを開発。電波が飛び散らず、ほかの電子機器に影響が出ない読み取り機を完成させた。これを使った管理システムは企業や図書館にも納めている。今後、医療機関にも導入を働きかけ、2022年度に売上高20億円以上を目指す。

 システムを開発した帝人の平野義明さんは「働き手が減るなかでも、今以上のパフォーマンスを出せる」と話す。北野病院の吉村長久院長は「(医療器具の)使用期限の管理や業務の軽減につながる」と期待した。(大川洋輔)