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 熊本地震で貯水槽などが壊れて大量の水が流出した九州電力黒川第一発電所(熊本県南阿蘇村立野)について、安全に復旧できるかを検討してきた評価委員会がこのほど、「復旧は可能」との最終とりまとめをした。発生当時、流出した水とともに大量の土砂がふもとの新所地区に流れ込み住人2人が死亡しており、安全性確保のため新しい知見や新技術も取り入れてハード、ソフト両面からの対策を講じるよう求めた。

 評価委は柿本竜治・熊本大大学院教授を委員長に、地質学などの専門家らで構成されている。熊本地震では大規模な斜面崩落により基礎地盤が失われたとし、設備強化の「ハード」、住民への安全対策の「ソフト」の両対策を通じ、熊本地震相当の災害でも住民に影響を与えない設備とすることを方針に検討された。

 21日に公表された最終とりまとめでは、1万トンの水が流出した貯水槽は、周辺斜面が崩壊していることから、現在地から北東に約2キロ離れた、平らで被災時に損傷がなかった沈砂池のある場所に移設し、貯水槽から水を送る「水路トンネル」は地下深い位置に新設し断層のずれにも対応できる構造にするよう求めた。震度により取水口などが自動的に閉まるシステムや、万一の際に流出した水を安全に流せるルート確保、緊急時に住民に情報が確実に届く対策も必要とした。一方、取水堰(ぜき)は現在の位置で復旧可能とした。

 九電はこの提言を受け、安全対策の費用も含め経済性などを検討する。すでに区長ら住民代表への説明会を開いており、今後は、「地元住民とも話し合いながら復旧について決めていく」としている。(矢鳴秀樹)