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 若者でにぎわう名古屋・栄地区。そこにある「食事処 ダンラン亭」は昭和の風情が色濃く残り、初めてだと店内に入るのをためらうほど外観にも年季が入っている。ガスコンロ横に小窓が開いていて、近くのアパレルショップやヘアサロンなどで働く若者が次々と弁当を求めてやって来る。

 午後2時前、通りから店内をのぞき込むと、店主の掛端純一さん(67)と目があった。「ようこそ」とカウンター席に迎えてもらった。

 人気メニューはハンバーグ定食(税込み900円)とサーロインステーキ定食(同千円)という。チキンピカタ定食やサバのみそ煮定食もある。定食には白ごはん、赤だし、具がタマネギだけのシンプルなナポリタン、30個の卵を中華鍋で一気に調理した卵焼き、煮物、ポテトサラダなどが付いてくる。

 サーロインステーキ(160~180グラムほど)を頼むと、掛端さんが「赤みが多く残っている方がお勧め」とアドバイスをくれた。焼き上がった肉は黒こしょうが利いていて、とんかつソースとケチャップがかかっている。「千円でうまいものを出すため、長年知り合いのすぐ近くの精肉店から仕入れている」。肉はジューシーで白ごはんが進む。

 「おんぼろ定食屋です」というダンラン亭は、脱サラした掛端さんが約35年前に開いた。長屋風の建物にある店舗は賃貸で改装ができない契約のため、当時から変わっていない。当時すでに築数十年だったようだという。

 カウンター5席と小上がり10席。店主の気さくさと緩い雰囲気がお店の魅力の一つだ。「お嬢、ご飯のおかわり大丈夫?遠慮しないでね」「さとしくん、ひさしぶりだね」となじみのお客さんに声をかける。

 近所の人に頼りにされてもいる。サーロインステーキ定食を食べていると、お向かいのセレクトショップのオーナーが助けを求めて駆け込んできた。調理に一区切りつけ、クモ退治に飛び出して行った。

 基本的に毎日営業している。ただ、急なゴルフのお誘いがあるほか、年齢を重ねるにつれてお葬式への出席が増えてきてもいる。急きょ店を閉めることがあるため、訪問前にお店に電話で確認すると、行ってがっかりすることは避けられる。

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〈アクセス〉名古屋市中区栄3の28の29(052・242・6380)。午前11時ごろ~午後3時ごろ。不定休。(細見るい)