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 きのこの色と言えば、白や茶のイメージが強い。店頭に並ぶシイタケやエノキタケなどもそう。でも自然界には、もっと変わった色のきのこがある。

 国立科学博物館の保坂健太郎研究主幹の一押しは、コバルトブルーのソライロタケ。小笠原ではよく見られるが、本州などではかなりレアだ。実際には、この写真ほどの青さはめったに拝めず、もう少しくすんだ色のものが多いという。

 次に挙げてもらったのは、4本の赤い腕を伸ばすヨツデタケ。まるで宇宙から迷い込んだ異星人のような姿だ。

 黄色が目に映えるのはツノマタタケ。海藻のツノマタに似ていることから、こんな名前が付いた。都会でも公園の木製ベンチなどに発生する。

 三原色がそろって、「もう1色」と探してもらったのがアイタケ。傘が少し緑色を帯び、大きくなるとその表面にひび割れが生じる。

 赤いきのことして紹介したヨツデタケは、分類の上ではスッポンタケ目に属する。スッポンの頭部に似た形のスッポンタケや、レースを広げたようにきらびやかな姿のキヌガサタケなどに近い。保坂さんはこの仲間の研究で博士号を取得したので、思い入れが深いそうだ。

 この仲間には他にも赤っぽいきのこがある。カニノツメは、その名の通りの見た目をしているので、初めて見る人は驚くかもしれない。サンコタケは煩悩を払うとされる仏具「三鈷(さんこ)」に似た形から、その名が付いた。ツマミタケは赤い角柱のように伸びる。赤くはないが、鳥かごのように見えるカゴタケも近縁だ。

 これらの祖先は地下に生えるトリュフ型のきのこだったらしい。トリュフ型きのこは、地上にきのこができる祖先が地下に潜ったものがほとんど。なので、きのこの生える場所が地上の仲間は、例外的な存在と言えそうだ。

 地下では胞子を風で飛ばせないので、きのこは臭いを発して動物を呼び寄せるようになる。この性質を引き継いだスッポンタケの仲間には、腐敗臭のような嫌な臭いを放つものが多い。でも中にはフルーツみたいな香りを発するものもあるという。

 秋も深まりつつあるが、森の中ではまだきのこが見つかる。色や形、臭いや香りを意識すれば、これまでにない発見があるかもしれない。(米山正寛)