「ルビコン川渡ってしまう」元徴用工判決、迫る資産売却
ソウル=武田肇 太田成美 上地兼太郎
元徴用工訴訟で、韓国大法院(最高裁)が日本企業に賠償を命じた判決から30日で1年が経つ。日韓の膠着(こうちゃく)状態が続くなか、来年1月にも、原告が賠償金の代わりに被告企業の資産を売ることが可能になる見通しだ。両政府は売却回避を願うが、打開策は見いだせていない。
「強制動員を賠償せよ」
ソウルの日本大使館前など約10カ所で29日、市民団体のメンバーが1人ずつ街頭に立ち、「判決履行」を訴えた。参加した女性(37)は「戦犯企業が判決を無視するのは許せない。賠償だけでなく謝罪もすべきだ」と話した。
これまでに大法院判決で敗訴した日本製鉄と三菱重工業は、賠償金の支払いに応じていない。日本政府が、判決は1965年の日韓請求権協定に反するとの姿勢を示しているためだ。
大法院で勝訴が確定した原告は元徴用工ら32人。賠償総額は計27億ウォン(約2億5千万円)超に上る。32人のうち多くは、被告企業が韓国内に持つ株式や特許権などの資産を差し押さえ、裁判所に賠償額相当を売却する「現金化」を申請済みだ。
原告側弁護士によると、来年…