国連難民高等弁務官や国際協力機構(JICA)理事長として活躍した緒方貞子(おがた・さだこ)さんが死去したことが分かった。92歳だった。葬儀は29日午後、東京都内の教会で営まれた。

 1927年、東京都出身。聖心女子大学を卒業後、米国ジョージタウン大学で修士号、カリフォルニア大学バークリー校で政治学博士号を取得。76年に日本人女性として初の国連公使となり、国連人権委員会日本政府代表などを歴任した。

 91年1月に国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のトップに就任。イラクでクルド人支援に取り組み、家を追われてトルコとの国境周辺にとどまる大勢の人々の支援を決断。UNHCRはそれまで国を逃れた難民を支援対象としていたが、国家によって生命と安全を保障されない国内避難民の支援にも踏み出し、転機となった。

 また、国家中心の安全保障に代わる概念として、紛争や貧困など、あらゆる脅威から人々の生存や尊厳を守る「人間の安全保障」の重要性を提起。2012年の国連総会では「人間の安全保障」を重視する決議が全会一致で採択された。

 01年からはアフガニスタン支援日本政府特別代表を務め、03年10月にはそれまで外務省出身者がトップに就いていたJICAの理事長に就任。「現場主義」を浸透させ、海外事務所を増やすなどの改革やアフリカ諸国への援助増を推進。国際的な知名度を生かし、大きな存在感を示した。

 12年4月から務めたJICA…

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