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 慶大野球部が91年ぶりの偉業に挑戦する。東京六大学野球の秋季リーグ戦で8連勝中。11月2日に始まる最終週の早大戦も2勝0敗なら、六大学史上6度目、慶大にとっては戦前の1928(昭和3)年秋以来となる「10戦全勝優勝」が果たされる。

白線の歴史

 1925(大正14)年秋に始まった東京六大学のリーグ戦史上、10戦全勝優勝を最初に達成したのが、28年秋の慶大だった。宮武三郎、山下実、水原茂らを擁し、法大、立大、帝大(現・東大)、早大、明大にすべて2戦2勝し10連勝。応援歌「若き血」が誕生した翌年のことで、偉業を記念し、ストッキングに白い線が入れられた。

 慶大が再び無敗で優勝を達成したのは85年秋。1年生エースの志村亮らを擁した年で、57年ぶりの快挙を記念し、ストッキングに2本目の白線が刻まれた。

 ただ、このシーズンは立大戦で引き分けがあり、11戦10勝1分け。連盟の「優勝記録」では「全勝」に分類され、「10戦全勝」とは区別して扱われている。

他校も1度ずつ

 「10戦全勝」優勝は、東大を除く5校が過去1度ずつ達成している。2度目は戦後となり、1958年春の立大。長嶋茂雄らの活躍で春秋連覇を遂げた翌年のことで、立大は同年秋に至るまでリーグ4連覇を果たした。3度目の達成は小早川毅彦、西田真二、木戸克彦らを擁した82年春の法大。4度目は96年秋の明大で、川上憲伸らの活躍で開幕から他校を圧倒した。

 最後の5度目は2003年秋の早大。鳥谷敬や青木宣親らを擁し、02年春から4季続いた連続優勝の最後を全勝優勝で締めた。

 なお、引き分けを含む「全勝」優勝は過去2度あり、85年秋の慶大と、同年春に法大が12戦10勝2分けで達成している。

「特別」な早慶戦

 今季の慶大は攻守ともスキがない。ともに1年生から活躍を続ける4番・捕手の郡司裕也主将(4年、仙台育英)=中日ドラフト4位=、柳町達(たつる)(4年、慶応)=ソフトバンク5位=らを軸とする攻撃は、ここまで8試合で41得点、チーム打率2割6分3厘とリーグトップ。投手陣も、エース左腕の高橋佑樹(4年、川越東)に加え、森田晃介(2年、慶応)らが急成長して層が厚くなった。

 残す早慶戦は、選手らにとって例年以上に「特別」だ。18年春は、リーグ連覇を遂げたものの最後に早大に勝ち点を奪われ、勝ち点5の完全優勝を逃した。同年秋も先勝したあと連敗。3回戦は、4―3で迎えた九回、あとアウトを三つとれば優勝という状況から2点とられて逆転負けし、果たせば46年ぶりだった3連覇が幻と消えている。

 チームはこのときのスコアを刻んだボードをグラウンドに掲げ、「今季こそ早稲田に勝って優勝」を合言葉に練習を続けてきた。

 今季、91年ぶりの10戦全勝優勝を果たせば、慶大のユニホームのストッキングに3本目の白線が刻まれる。「去年の秋は(高橋)佑樹ひとりに頼ってしまい最後に負けましたけど、今季は頼れる投手がたくさんいる。これまでとは違う」と、郡司主将は手応えを口にする。

 対して、「なんとか阻止したい」と意気込むのは早大の加藤雅樹主将(4年、早稲田実)。早大は今季、開幕から3試合続けて零封負けを喫するなど得点力不足に苦しんできたが、「ストッキングのラインを増やした代にはなりたくない。向こう(慶大)は変に力むこともあると思う。自分たちは伸び伸びやって、早稲田だけは(他校とは)違うんだというのをみせたい」と決意を語る。(杉山圭子)

慶大の早大戦の結果とシーズン最終成績 

    対早大 順位(勝敗、  勝ち点)

15年春 ●●  3位(6勝5敗0分、3)

15年秋 ●●  3位(7勝6敗0分、3)

16年春 ○●● 4位(6勝6敗1分、2)

16年秋 ○●○ 2位(8勝4敗0分、4)

17年春 ○●○ 2位(8勝4敗2分、4)

17年秋 ○○  優勝(9勝3敗1分、4)

18年春 ○●● 優勝(9勝4敗0分、4)

18年秋 ○●● 3位(9勝5敗0分、4)

19年春 ●○○ 2位(8勝4敗0分、4)

(大久保監督就任後。15年春・秋は早大、16年春・秋は明大、17年春は立大、18年秋は法大、19年春は明大が優勝)

 慶大野球部 1888(明治21)年創部。東京六大学で最も長い伝統を誇り、1928年秋にリーグ史上初の10戦全勝優勝。戦争による中断を経て、46年春、再開後最初のリーグ戦も制し、71年秋~72年秋には同校初の3季連続優勝を果たした。これまでの優勝回数は通算36度で、早大と法大の45度、明大の40度に次ぐ4位。大久保秀昭監督(50)は春秋連覇した91年当時の主将で、2014年12月の就任後、17年秋に初優勝。18年春にはリーグ連覇に導いた。

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