履正社、エース頼らずサヨナラ負け 挑戦者として臨む春

小俣勇貴
[PR]

(2日、高校野球秋季近畿地区大会準決勝 天理5―4履正社)

 同点の九回2死一、三塁、サヨナラを決める白球が左中間に伸びていく。敗れた履正社のエース岩崎峻典(2年)は、じっとスコアボードを見つめ、最後に整列に加わった。今夏の全国王者の秋は、サヨナラ負けで幕を閉じた。

 1点リードで迎えた九回、失策がきっかけとなった。2死一、二塁で同点の適時打が右前に転がり、なおも一、三塁。岡田龍生監督が動いた。勝負どころでマウンドに送ったのは、甲子園で優勝投手になった岩崎ではなく衣笠遼(2年)。その直後、サヨナラ安打は生まれた。

 なぜ、エースを頼らなかったのか。岡田監督のなかではっきりとした課題があった。「控え投手、控え選手がもっと出てこないと」。今夏、全国制覇を果たした一方で新チームの始動は遅かった。岩崎や池田凜(2年)、小深田大地(2年)といった主力は残るが、チームを作り上げていく上で競争は不可欠。台頭を期待する経験の少ない投手に大事な場面を任させたのは、そんな考えがあったからだろう。

 決勝進出にあと一歩及ばず、主将の関本勇輔(2年)は悔しさを隠さなかった。「一回負けた相手にリベンジをしたかった」。相手とは、府大会決勝で延長戦の末に敗れた大阪桐蔭。ライバルはこの試合の直前にサヨナラ勝ち。終盤に追い上げを見せ、6―5で智弁学園を下していた。1年時から主力を担う小深田は言う。「大阪桐蔭は最後までに仕留めきる強さがあった。うちは最後まで粘れなかった。学ぶべきところ」

 履正社にとって課題がより明確になった敗戦に、「この負けを意味のあるものにしないといけない」と小深田。王者としてではなく、挑戦者として春に向かう。(小俣勇貴)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

今すぐ登録(1カ月間無料)ログインする

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません