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 戦時下、日本政府の極秘情報を旧ソ連のスパイらが漏洩(ろうえい)した「ゾルゲ事件」の概要を司法大臣が昭和天皇に報告した上奏文の文案が見つかった。「20世紀最大のスパイ事件」と後年に呼ばれた事案の捜査や公表を、旧司法省が一貫して主導した内幕が記されていた。報告内容が当局の都合に合わせて添削される過程もうかがえ、研究者は第一級の重要資料としている。

 今回見つかった上奏文案は、1942年5月9日付の原案(計28ページ)と同11日付の最終案(計34ページ)で、いずれも冒頭部分に「厳秘」印が押されていた。政治犯の取り締まりを主導した「思想検事」太田耐造の旧蔵資料に含まれていた。司法省の取り調べ調書をはじめ事件を記述した大量の内部文書と一緒に見つかった状況から、戦時下の情報戦に詳しい加藤哲郎・一橋大学名誉教授が、実際に上奏の準備に使われた資料と判断。概要は9日に都内で発表される。

 ゾルゲが治安維持法や軍機保護法などの違反容疑で41年10月に逮捕されたほか、検挙者が30人を超えた同事件は42年5月13日、昭和天皇に報告された。「昭和天皇実録」の同日付に、午前11時半、司法大臣の岩村通世から報告を受けた旨の記述がある。

 これらの文書によると、司法省刑事局の文案作りは同年4月に準備が始まったとみられる。直前まで手直しが続き、見つかった二つの文案とも、書き込みが多数残されていた。ゾルゲらを「国際諜報(ちょうほう)団」と呼び、ゾルゲらが入手した主要な情報として、41年7月2日付の御前会議の内容(対ソ軍備を維持しつつも南進態勢の強化を決定)や、ドイツが対ソ戦を決めたことと開戦予定日(同年6月22日)、日米交渉の内容など計7項目を挙げた。

 9日付の原案では7項目それぞ…

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