【動画】明治神宮をめぐるグリズデイル・バリージョシュアさん=遠藤啓生、竹谷俊之撮影
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 日本で有数の初詣参拝者数を誇る明治神宮(東京都渋谷区)。新宿や渋谷に囲まれた都心のど真ん中でありながら、一歩踏み入れればそこは広大な森と静寂が包み込む異空間です。外国人障害者向けの日本観光サイト「アクセシブルジャパン」を運営するバリージョシュア(以下ジョシュ)さんと神宮の杜(もり)を散策します。(遠藤啓生)

 JR原宿駅と東京メトロ明治神宮前駅方面から参拝経験がある方であればご存じかと思います。入り口の南参道から拝殿までは約900メートルあります。玉砂利が敷かれており、当然車いすユーザーには厳しい環境です。

 数年前まで動画投稿サイト「ユーチューブ」には、ガリガリと玉砂利の参道を進む車いすユーザーの方から投稿が相次ぎました。

 しかし2016年、神社は参道の両脇に幅約2メートルの石板舗装を施しました。

 20年東京オリンピック・パラリンピックの年にはちょうど鎮座(創建)百年を迎えます。節目の年に向けて神社では約5年前から、車いすユーザーでも参拝しやすいように様々な取り組みを始めました。その一環として、電動車いすの方はもちろん、手動の車いすの方でも拝殿までたどり着くことが出来るように参道を整備しました。

 勾配のある舗装路を400メートルほど進むと、結婚式場やカフェが入る「フォレストテラス明治神宮」(旧明治神宮文化館)が見えてきます。「誰でもトイレ」を備えた複合施設です。

 介助する方にとって、着替えのしやすさは大切な要素です。その点、便座には背もたれが設置されているので、被介助者が体重を預けることができます。着替えもスムーズに出来ます。

 フォレストテラスを出たすぐ先には、約200カ所の酒造所から奉納された酒樽(さかだる)がずらりと並びます。お米の豊作祈願と収穫への感謝の意味があります。

 鮮やかな絵柄のため、外国人旅行者の間では、ちょっとしたインスタスポットになっています。

 真向かいには、フランス・ブルゴーニュ地方から奉納されたワイン樽が並びます。明治神宮は、明治天皇(1912年没)と昭憲皇太后(14年没)を祭神とする神社です。洋服や髪形をはじめ、西洋文化を積極的に取り入れた明治天皇の姿勢が垣間見えます。

 本殿入り口の南神門前までには電動車いすのジョシュさんで約17分かかりました。お参りする拝殿まで、全ての階段や段差の横にはスロープが設置されています。

 明治神宮・国際神道文化研究所の伊藤守康さんがジョシュさんを迎え入れてくれました。「車いすで参拝する方には、本殿東側の第三駐車場(無料)の利用もお勧めしています。拝殿まで石板舗装が施されているので、安心して参拝頂けます」

グリズデイル・バリージョシュア

 1981年1月生まれ。カナダ・トロント出身。生後まもない頃の病気で、手足に障害が残り、4歳のときから車いす生活を送る。

 19歳の時に父親と旅行で初来日。駅のホームで職員が出迎え、改札まで車いすを押してくれた経験に感動。日本は「心のバリアフリーが達成されている」と実感する。

 日本永住を目指して2007年夏に再来日。16年には日本国籍を取得する。現在は介護施設「アゼリー江戸川」(東京都江戸川区)で事務職として働く。その傍ら、10年以上日本で暮らしている経験をもとに、外国人障害者向けの日本観光サイト「ACCESSIBLE JAPAN(アクセシブルジャパン)」を制作・運営している。