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医の手帳・アルコール依存症(2)

 多量飲酒は健康に害を及ぼします。世界保健機関(WHO)は、アルコールを200以上の疾患とけがの原因と報告しています。

 代表的なものを挙げると、消化器では、肝硬変の約20%がアルコール性と推計され、急性膵炎(すいえん)の成因の約34%、慢性膵炎は約70%を多量飲酒が占めます。食道や胃、小腸に出血性びらんや潰瘍(かいよう)など粘膜の病変を起こし、下痢や吸収障害がみられることもあります。心臓では、虚血性心疾患になる確率は少量飲酒で減少しますが、多量飲酒で増加します。心筋症や不整脈の危険因子にもなります。

 WHOはアルコールやアルコールが分解されてできるアセトアルデヒドを発がん物質と認定し、飲酒が原因のがんとして、口腔(こうくう)、咽頭(いんとう)、喉頭(こうとう)、食道、結腸・直腸、肝臓、女性の乳がんを挙げています。高尿酸血症はプリン体が少ないものは飲酒してよいと考えられがちですが、アルコール自体が尿酸の生成を促進し、腎臓からの排泄(はいせつ)を阻害するため尿酸値は上がります。意識障害などの症状をもつウェルニッケ脳症はビタミンB1の欠乏が原因ですが、アルコール依存症も深く関わり、80%はコルサコフ症候群というアルコール関連認知症に進展します。他に脳の萎縮性変化や脳梗塞(こうそく)によるアルコール性認知症も起こります。アルコール依存症を含む使用障害を持つ人は、うつ病や不安障害の合併頻度が高く、飲酒と中高年男性の自殺には関連がみられます。

 厚生労働省による健康日本21(第2次)では、生活習慣病のリスクを高める量を飲酒する人の割合減を目指し、1日当たりの純アルコール摂取量が男性40グラム未満、女性20グラム未満になるよう勧めています。生活習慣病以外の疾患や自殺に関してもこの量未満でリスクが低減すると考えられています。

 著しく健康を害すると断酒が必要になってしまいます。将来もお酒を楽しみたい方は、日頃から飲みすぎに注意しましょう。(新潟県立精神医療センター 小泉暢大栄医師(精神科))