凄腕しごとにん
杜(もり)の都なつみクリニック院長
箱崎菜摘美さん(33)
白衣の袖を少しまくり、クマのぬいぐるみの足元を見つめる。毛が抜け、生地の一部があらわになっている。ベージュ色の毛糸を細かくほどいて針に通し、縫いつけていく。元の毛と見比べながら、クリーム色や暗めの色の糸も混ぜて縫っては切りそろえ、ブラッシング。足元がみるみる、ふさふさになっていく。
「日焼けで脱色した箇所もあれば、元のままの色の箇所もある。場所によって色の配分を変え、なじむようにしているんです」。都内の女性に「治療」を依頼された34歳のこのクマはまもなく「退院」した。
中国から取材も
長年かわいがられて毛が抜けたり、生地が傷んだり、黒ずんだり。そんなぬいぐるみを修復する国内でも珍しい「ぬいぐるみ専門院」の院長を務める。これまでに治療したぬいぐるみは約7200体に上る。
ぬいぐるみは家族――。そん…