金子智彦、写真=林敏行
自分の体の前方に投げる技が主流なだけに、後ろに投げる反り投げは「あまり人気のない、難しい技」。珍しい分、きっちりかければ面白いように決まった。その魅力にとりつかれて投げまくるうちに、反り投げは23歳の代名詞になった。
正対する相手の背中に回した両腕をがっちりと固定(クラッチ)、相手の動きを封じた上で抱え上げ、ブリッジの体勢から後方へ豪快に投げ落とす。
レスリング男子グレコローマンスタイル60キロ級の文田(ふみた)健一郎(ミキハウス)は「僕のグレコは反り投げとともにずっとある。一番魅力的な技だと思う」と話す。
成功のポイントは二つ。四つ身になって相手の後ろで組んだクラッチの固さ。そして、相手を上方へ持ち上げるときに、自分の下っ腹で突き飛ばす勢いだ。自由を失った相手は空中で1回転し、背中からマットにたたきつけられる。
反り投げが文田の「専売特許」とされるゆえんは、投げる際にブリッジで反り返る角度が誰よりも深いことだ。一般的な選手は背中を十分に反らすことが出来ず、真っ逆さまではなく前方に飛んだ格好の相手は、顔や肩からマットに着く。
角度のある美しいアーチ状の投げを可能にしているのが、「猫レスラー」の異名を持つ文田の背中から腰にかけた筋肉と関節の柔らかさだ。
「僕のレスリングはすべて父に…
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