[PR]

 オーストラリア南部の中心都市アデレード。夕暮れ時に、広々とした美しい緑のフィールドに男性たちが集まってきた。アマチュアのラグビーチーム、AUシャークスの面々だ。

 がっしりとした体形のメンバーは、黒や紺のラグビージャージー姿だが、足元には虹色のソックス。虹色は、性的少数者(LGBT)と性の多様性を象徴するカラーだ。7月に発足したシャークスは、ゲイ(同性愛者)の男性を歓迎すると公言した、アデレードでは初めて、豪州では5番目のラグビーチームなのだ。

 豪州では2017年12月に同性婚が合法になった。社会でのLGBTの理解は進んでいるが、スポーツの世界では、どうなのだろうか。日本でラグビーのワールドカップ(W杯)で盛り上がっていた10月、それを考えるきっかけにと取材を始めた。

初心者も「心地いい」

 明るい練習の雰囲気は、普通の男子チームとあまり違いを感じない。チームのまとめ役のピーター・スティーブさん(48)は「ラグビーからドロップアウトしてしまったり、スポーツで競い合う機会を求めたりしているLGBTの人たちに機会を提供したい」と言った。シャークスは、来年初めにアデレードのアマチュアの3部リーグに参加する。

 メンバーの一人、キャメロン・フォースターさん(29)は豪州でラグビーと並ぶ人気スポーツ、オーストラリアンフットボールの経験者。「ゲイ歓迎」のシャークスを知り、「興奮して立ち上げから関わりたい」と初体験のラグビーに飛び込んだ。「ここは、本当に心地がいいよ」

 オーストラリアンフットボールのチームに入っていた高校時代には、自分がゲイだとは隠していた。「スポーツには、自分がゲイだとカミングアウトするような環境はないと感じていた」。社会人になってからは、ジムには行っても、団体競技からは遠ざかっていた。

 練習で、タックルやパスなどの基本を繰り返しているのは、フォースターさんのようにラグビーは初心者の人たちもいるからだ。

 ライアン・コックスさん(27)は高校時代にはサッカーチームに入っていた。でも、その後は新しくスポーツのクラブに入るのをちゅうちょしていた。「ゲイでありながら、男性向きのスポーツに参加するのは、恥ずかしいこと、という空気を感じたから」という。「だから、このクラブは本当にクール(かっこいい)だ」

 みな、ここを「心地よい」と言う。裏を返せば、スティーブさんの言うように、ゲイとして、スポーツの普通の男子チームに入ることをあきらめたり、ためらいがあったりしていたということだ。そんな「居心地の悪さ」の原因は何なのか?

■「最も遅れた」スポ…

980円で月300本まで有料記事を読めるお得なシンプルコースのお申し込みはこちら