原田悠自
昨年の西日本豪雨の発生から1週間後、避難所でボランティアをしました。出張リンパケアの仕事を生かして施術をしている時、体だけでなく心のケアの必要性を強く感じました。
避難所は小学校の体育館。世帯ごとに高さ1メートルほどの段ボールで仕切られていましたが、物音や会話がどうしても聞こえてしまう状態でした。
ベッドを持ち込み、区役所からついたてを借りて施術をしていると、被災者から「災害が本当に怖かった」とか「避難所で人に見られるのがつらくて」と打ち明けられました。慣れない生活で気を張っていたのか、涙する人もいました。
被災者の心に寄り添いたいと思い、2カ月後、避難所で出会った高齢夫婦が借りた一軒家の2階を提供してもらい、地域交流サロンを開きました。避難所を出て自宅に戻った人たちは口をそろえて「家にいるより、ずっといい」。5、6人が集まり、お茶を飲みながら世間話をする空間が、とても貴重なのだと実感しました。今年3月、高齢夫婦が自宅の修繕を終えて借家を離れ、サロンも休止に。寂しがる被災者のためにも何らかの形でサロンを復活させたいです。
時間が経っても被災者の心の傷は癒えません。毎日のあいさつからでも構いません。日常の何げない会話の積み重ねが被災者の心を救うはずです。災害が起きた時こそ、地域住民が力を合わせる時だと思います。
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朝日新聞社会部