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 台風19号による大雨で北陸新幹線10編成(120両)が浸水した問題で、JR東日本の深沢祐二社長は6日、このうちJR東が所有する「E7系」8編成を廃車にする方針を表明した。残る「W7系」2編成を所有するJR西日本も「使用不可」と判断し、廃車にする方針だ。

 長野市内では千曲川の堤防が決壊し、JR東の長野新幹線車両センターが浸水。センターに止めてあったE7系とW7系計10編成が水につかった。新幹線が水につかるのは1964年に東海道新幹線が開業して以来初めてだった。

 両社が詳しい被害状況を調べたところ、電子部品を備えるモーターやブレーキなどの床下機器は完全に水没。車内もほとんどのシートが座面からひじ掛けまで水につかっていた。深沢社長は「安全性や安定性を考え、修理より新造の方が適切と判断した」と述べた。LED表示器など一部のサービス機器は再利用を検討するという。

 両社が10月末に発表した中間決算によると、全10編成を廃車にした場合、減価償却費を差し引いた損害額はJR東が約118億円、JR西が約30億円。JR東は8編成とも新造する方針で、通常の製造費とされる1両約3億円で計算すると、JR東だけで288億円がかかる見込みだ。

 車両不足のため通常ダイヤの8割ほどに減らしている運転本数について深沢社長は、上越新幹線用に新造中の5編成と予備車両1編成を北陸新幹線に転用させる考えを示した。これにより、11月末までに東京―金沢を直通する「かがやき」「はくたか」の本数を通常ダイヤに戻し、今年度末までには東京―長野の「あさま」を含めた全体の本数を元通りにするとしている。(細沢礼輝)