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 山陰を舞台に絵画のような芸術写真を撮り続けた写真家、塩谷定好(1899~1988)の作品136点を集めた写真集「夢の翳(かげり)」を、島根県立美術館主席学芸員の蔦谷(つたたに)典子さんが発刊した。大正期から昭和初期にかけての作品を中心に、ソフトフォーカスの技法で切り取った独特の世界を1冊に収めた。

 塩谷は現在の鳥取県琴浦町赤碕出身。13歳の時に父親に買ってもらったイーストマン・コダック社の小型カメラ「ベスト・ポケット・コダック」を愛用し、地元の村や海岸、花などを撮り続けた。芸術写真を志しあえてピントを甘くした作風で、戦前はたびたび写真雑誌に取り上げられるなど活躍したが、戦後は半ば忘れられた存在だった。

 1970年代になって、鳥取県境港市を舞台に活躍していた写真家、植田正治(1913~2000)が塩谷を再評価。75年に写真集「ALBUM1923~1973 塩谷定好名作集」を植田監修で出す。欧州でも名が知られるようになり、82年には西ドイツ(当時)の「フォトキナ栄誉賞」を受賞。2014年には生家を改築し「塩谷定好写真記念館」が開館した。

 蔦谷さんは国内に所蔵されてい…

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