拡大する写真・図版家族滞在型のNICU。手前のベッドで眠る赤ちゃんの後方に、家族が使えるベッド、ソファなどが備えられている(豊島さん提供)

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 NICU(新生児集中治療室)というと、赤ちゃんの保育器がずらっと並び、心拍数の異常などを伝えるモニター音が鳴っている場所、というイメージが一般的だろう。そんなNICUの新たな形を模索している施設が、神奈川県立こども医療センター(横浜市)だ。

 9月に運用が始まった新施設は、赤ちゃんと家族は個室で一緒に長時間過ごし、その空間は高音質なハイレゾ音源による鳥のさえずりや小川のせせらぎに包まれる。テレビドラマ「コウノドリ」の医療監修も務め、NICUのあり方を見つめ直してきた同病院の新生児科部長・豊島勝昭さん(50)が語る、「命が助かる時代」に求められる、赤ちゃんと家族を支える場所の新しい形とは。

 同病院では今回、約20億円をかけ、施設を改修したり医療機器を整備したりした。集中治療のための検査や治療にかかわる医療機器は、最新のものをそろえた。

 ただ、それ以上に注目を集めているのが、患者家族が長時間、一緒に過ごせる「家族滞在型のNICU」だ。計6部屋(6床)あり、それぞれに、赤ちゃんのベッド(保育器)と親が寝るベッド、ソファなどが備えられている。希望すれば24時間、家族が一緒に過ごすことができる。一般的なNICUでは、出産後の母親は産科の病棟で長時間過ごし、親子が離れている。日中にNICUに足を運び、赤ちゃんを抱っこしたり、ミルクをあげたりするのがふつうだ。

 「これまで日本のNICUは治療優先の場所という考え方が強く、家族のスペースはとくにありませんでした。でも、今回、私たちは『集中治療』と『家族支援』の両方をもっとしっかりやるというコンセンプトに立ち、新たなNICUをつくってみようと考えました」

命は助かるようになった、その先を

 背景には、新生児医療の進歩もあり、赤ちゃんの救命率が上がっている現状がある。神奈川県立こども医療センターでも、入院する赤ちゃんの9割近くは命が助かるようになっているという。

 「命は助かる時代になりましたが、一方で、病気や障害とともに生きていくことになる赤ちゃんが増えたとも言えます。そこにどう支援の手を届けていくのか。助かるからこその課題にいま、私たちは直面しているのだと思います」

 具体的には、どういうことなのか?

 「退院したその先、を考えない…

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