無意識にまぶたを閉じる「眼瞼けいれん」、治療法は?
70代男性。10年ほど前から無意識にまぶたをギュッと閉じる「眼瞼(がんけん)けいれん」の症状が出ています。5年前にまぶたを上げやすくする手術、その後はまぶたの筋肉をまひさせる注射を受けましたが、効果がありませんでした。手術などで治せないでしょうか。(京都府・K)
【答える人】若倉雅登(わかくら・まさと)さん 井上眼科病院(神経眼科)=東京都千代田区
Q 眼瞼けいれんとは。
A まぶたがぴくぴくすると思われがちですが、必ずしもそうではありません。症状は三つの要素が組み合わさったもので、一つは、まぶたがなめらかに動かなくなる運動障害です。目を開けることに大きな負担がかかります。二つ目は、まぶしさや痛みといった目の感覚過敏。三つ目は、うつや不安などの精神心理系の症状です。
Q 原因は。
A 運動の調整などをする脳の基底核を含む回路の伝達の異常だと考えられています。簡単に言えば、脳の誤作動です。誤作動する原因はよくわかっていません。ほとんどの患者は40歳以降に発症し、女性の方が2倍ほど多い一方で、抗不安薬のベンゾジアゼピン系などの薬の服用もリスクと考えられています。
Q 治療法は。
A 根本的な治療はまだなく、ボツリヌス毒素のまぶたへの注射が第一選択です。まぶたの筋肉をまひさせて目を閉じにくくし、目を開ける負担を減らします。効き目は2~3カ月ほどで、2割ほどの人には効かず、むしろ悪化する場合もあります。このほか、目の筋肉への様々な手術が試みられてきましたが、手術直後に良くなったと感じても、効果が2年以上続いた例は少ないです。
Q この病気とどう向き合えばいいですか。
A 日常生活に大きな支障が出るつらい病気です。マイナス思考は悪化の要因になり、治療に限界があると知った上で、いかに折り合いをつけるかが大切です。病気のことがよく知られていないために誤解されることも多く、周囲の人が理解を深めることも重要です。
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