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 普段は目立たない「あの子」を、私が表に出してあげる――。アイドルファンの「推しメン(一押しのメンバー)愛」ならぬ学芸員の「展示品愛」を形にした企画展が、長崎市で開かれている。集めたのは常設展ではあまり出番のない収蔵品ばかり。見せ方にもこだわる展示には、学芸員の熱い思いがあふれている。

 長崎歴史文化博物館(長崎市立山1丁目)では、8万点以上の収蔵品のうち、常設展で展示されるのは年間約200点、わずか0・25%だ。

 「近世の長崎と海外の交流史」という館のテーマにそぐわないものやスペースを取りすぎるものなど、なかなか日の目を見ない品も多い。そんな「メンバー」から、学芸員がおすすめの約140点を選んだ企画展が「収蔵品展 学芸員のイチ推し!」。

 目玉のひとつは江戸時代の作とされる「幻の長崎美人」。紙や綿を包んだ布で立体感を出す「押し絵」で、梅の花を眺めながら子犬と戯れる女性を描いた美人画。すっと伸びた鼻筋に少し上がった左の目尻、一本一本植え込まれた髪の毛もつややかで美しい。

 「幻」たるゆえんは、この押し絵が飾り棚の裏面にあること。棚は常設展で何度か展示されてきたものの、スペースの都合で裏面は壁で隠れてしまう。館内でもその存在を知る人はほとんどいなかった。今回は大型の展示ケースに納めることで、表裏の両面が見通せるようにした。

 この工芸品を「推し」たのは、…

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