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【アピタル+】患者を生きる・職場で「金属アレルギー」

 アクセサリーをつけたところが赤くなったり、かゆくなったりすることはありませんか? もしかすると、金属アレルギーによる症状かもしれません。どんな病気なのか、どんな対策が必要なのか。日本医科大学付属病院の藤本和久(ふじもと・かずひさ)皮膚科医長に聞きました。

拡大する写真・図版日本医科大学の藤本和久さん=東京都文京区

――どんな病気ですか?

 金属は日常生活のあらゆるところに使われています。その金属に触れた皮膚が赤くなったり、小さな水ぶくれができたりする病気です。かゆみを伴うこともあり、ひどくなると全身に広がります。

 原因になる金属が汗などに溶けて「イオン化」し、体内のたんぱく質と結びつきます。これをリンパ球が異物と認識して抗体をつくり、再び原因となる金属が皮膚などを通して体内に入ってくると、アレルギー反応を起こします。

――どんな金属が原因になるのでしょうか?

 ニッケル、コバルト、クロム、金、パラジウムなどがあげられます。この順番に原因となることが多い、と言っていいでしょう。

 ニッケルはとくに身近なものに多く使われています。ネックレスの留め金、メガネのフレーム、ジーンズのボタン、ベルトのバックルなどです。また、セメントなどにも含まれていて、土木、建築関係など「職業性」の湿疹が手などに起きる例もあります。

 クロムは革バンドをなめす際にも使われます。時計の革バンドをしたところが赤くかゆくなる場合など、革アレルギーと間違われることがあるのですが、実は金属アレルギーの可能性があります。

 金は化学反応を起こしにくい金属として知られます。それでもピアスなどに使われている場合は、要注意です。ピアスは皮膚に部分的に埋め込まれた状態になっていることもあり、汗をかくと溶け出して症状が起きるおそれがあります。

 パラジウムは歯の治療でも使われています。

パッチテストで診断

――金属アレルギーはどうやって調べるのですか?

 パッチテストが一般的です。

 微量の金属を含ませたパッチを上腕や背中に貼ります。48時間後にはがして、赤くなるなどしていないか、皮膚の反応をみます。同じことを72時間後、1週間後にも調べて判定します。

 1回目の判定となる48時間(2日)以内は、パッチを貼った部分が水でぬれないようにすることが正確な判定のうえで必要です。髪を洗ったり、パッチを貼っていないところを洗ったりするのは構いませんが、入浴は控えてもらうようにします。汗を激しくかくような運動もしないようにお願いすることになります。

 テストには、公的医療保険が使えます。

――金属アレルギーと診断された場合、どんな治療や対策が必要になりますか?

 塗り薬のほか、全身に症状が出るなどひどい場合には内服薬もあります。

 ただ、治療の基本はなによりも「原因となる金属に接しない」ということに尽きます。このためにも、原因となる金属と特定するパッチテストが重要なのです。

 アクセサリーをする場合は、金属が特定できたら、それとは違う金属を使ったものに変えるようにします。服のうえからするという方法もあるでしょう。

金属は食品に含まれていることも

――患者は増えているのでしょうか?

 きちんとした統計はありませんが、パッチテストを受けたいと受診する人は昔に比べて増えたと思います。ピアスが一般的になった影響もあるかもしれません。受診する人は、圧倒的に若い女性が多いです。

――金属アレルギーかもしれない、と感じたら、どうしたらいいでしょうか?

 アクセサリーをしていて肌がかぶれるなどの症状があれば、皮膚科を受診してみてください。パッチテストをしている医療機関を調べ、問い合わせるのがいいと思います。

――ほかに注意することはありますか?

 アレルギーの原因となる金属は食品にも含まれています。

 たとえば、ナッツ類や海藻類、チョコレートなどは、ニッケル、コバルトなどの金属を多く含みます。

 パッチテストで原因となる金属を特定した後、その金属の肌への接触を避ける対策をとっているのにもかかわらず、症状が改善しない場合は、こうした食材を控えることを考える必要が出てくるかもしれません。

◇ご意見・体験は、氏名と連絡先を明記のうえ、iryo-k@asahi.comメールするへお寄せください。

<アピタル:患者を生きる・眠る>

http://www.asahi.com/apital/special/ikiru/(聞き手・武田耕太)