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 宮崎県境に近い熊本県高森町下切の山中で今月、地元農家の甲斐好夫さん(72)が国の特別天然記念物ニホンカモシカを撮影した。3日朝、シカ用の足わなにかかっているのを発見したもの。すぐに町教委と県教委に連絡し、近所の人と一緒にわなから外して山に戻した。体長1メートル、体高70センチほどで、健康できれいな毛並みだったという。

 熊本、大分、宮崎の県教委による2011~12年度の調査によると、九州のニホンカモシカの推定生息頭数は812頭で、その17年前の調査時の3分の1強。熊本県教委によると、熊本県内にはこのうち50頭しかおらず、その後もさらに減っている可能性が高いという。

 3県教委の調査報告書によると、カモシカは本来の生息域である高標高地での自然林伐採・造林とシカの侵入などで、高地から低い場所に下りて生き延びていると見られる。わなや農業用ネットにかかったり、病気に感染したりするリスクも高まっている。甲斐さんも10年ほど前からカモシカや、その死体を発見するようになったという。

 県教委はカモシカの保護対策に向けた生態調査を続けている。カモシカと思われる生き物や、その死体をみかけた場合は近寄ったり触れたりせず、地元の教育委員会に連絡するよう呼びかけている。(後藤たづ子)