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 広島市出身でカナダ在住の被爆者、サーロー節子さん(87)の自伝「光に向かって這(は)っていけ 核なき世界を追い求めて」(岩波書店)の出版記念講演会が9日、広島市中区の中国新聞ホールであり、およそ540人が耳を傾けた。

 サーローさんは、先月の「即位礼正殿の儀」に招かれ、一時帰国している。広島に里帰りし、「ここが私の属するコミュニティー」と笑顔を見せた。

 海外で証言活動をする中で、「原爆を投下した米国にまだ怒りがあるか」と度々聞かれ、「米国の人を怒ることはできないが、使うと決めた人たちは人類に対して罪を犯した。政府と市民の責任を分けて考えている」と答えると紹介。怒りを持ち続けつつ、それを「前進への新しいエネルギーにする」と語った。また「被爆者は被害者であり加害者でもあったと素直に口にしないと、真の語り合いはできない」とも述べた。

 共著者の中国新聞・金崎由美記者も登壇し、会場からの質問を紹介。「核兵器禁止条約に日本が参加してほしい。政府を動かすのに有効なことは」との問いにサーローさんは「世界は広島からの道徳的・政治的なリーダーシップを期待している。必ずしも日本政府と合致しなくても世界に示してほしい」と答えた。(宮崎園子