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(11日、大相撲九州場所2日目)

 2人の関脇に土がつき、負の連鎖に貴景勝ものみ込まれた。番付上位がつぎつぎと崩れた土俵の下、大関戦を控えた阿炎の胸中は沸き立った。「今日は前に出ていけるんじゃないかって」

 仕切り線から勢いよく前へ出た。両手で当たって高安を突き起こす。のけ反る相手に余裕を与えない。体をぶつけて押し切った。どちらが大関か分からぬような3秒6の決着。「まわしを取られたら力で負ける。技術はないですから」。自由奔放で大胆な発言も人気の25歳。ただ、この日は謙虚に今場所の初白星を振り返った。

 場所前、十両力士とふざけ合っている動画をSNSに投稿したことで相撲協会から厳重注意を受けた。協会全体で個人的なSNSの投稿は自粛となり、他の力士にも影響は広がった。普段は明るい性格の阿炎も、反省の色を引きずって場所を迎え、初日は黒星。「失った信用を取り戻すのは時間がかかる。今はがむしゃらに、一生懸命に相撲を取る」と前を向こうとしていた。

 今年は初場所から5場所連続で勝ち越し。この日で年間勝利数を46勝に伸ばし、御嶽海と朝乃山に並んで首位を走る。3場所連続で小結を務め、「いつか超えたい」と語っていた師匠・元関脇寺尾(現・錣山親方)の地位も目前にある。

 厳しい視線も分かった上で、力を試される場所だ。「今日のような相撲を取れれば、もっと上に行けると思う」。出直しの1勝。語気に力が戻ってきた。(波戸健一)

■関脇以上、また…

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