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カイシャで生きる 第34話

プログラマー ペン

 この夏、プログラマー仲間から「ペン」と呼ばれている男性に会った。

 彼はたしかにペンを手にしていた。先っぽに柔らかなゴムが巻き付けられた鉛筆。ペン先でひとつひとつ、キーボードを押す。打ち込まれるのはプログラミング言語だ。

 8月半ば、宮城県石巻市で開かれた「石巻ハッカソン」。90人以上が参加してITの技を競い合ったイベントに、ペンはやりたいことを打ち出して参加した。それに関心をもった人たちが集まってチームをつくった。

 提案したのは、「ヘルプマーク2.0」。

 ヘルプマークとは、赤地にハートと十字のマークが白抜きされた印。ぱっと見、病気や障害だとわからなくても、お守りのように身につけていれば「助けが必要な人」と気づいてもらえるように作られたものだ。

 「でもそれだけだと、何を助けてほしいかわからないでしょ」と、ペンは言う。

 そこでITの出番だ。「2.0」のサービスでは、助けたい人と助けてほしい人がそれぞれSNSアカウントに登録しておく。

 「できれば座りたい」「小銭を拾って下さい」――。知らない間柄でも、言葉を発することができなくても、SNSならつながれる。助け、助けられる。

 ハッカソンの最終日。「ヘルプマーク2.0」は2番目に多い「いいね!」を集め、表彰された。

 手足が思うように動かない。言葉もうまく発せられない。「当事者の気づき」をプログラムに込める。だからもっと便利にできる。

 ペンの本名は、菅原洋介さん(40)。お産の事故で脳性まひになった。中学でいじめられ、高校に落ち、就職に苦しんだ。そんな自分を助けてくれたITで、こんどは人助けがしたいと、38歳でプログラマーになった。

本当はもう少しできるのに

 障害があるから――。そう意識するようになったのは、中学生のときだ。

 宮城県の地元で通った小中学校では特別支援学級に通い、普通学級で授業を受けることもあった。

 初めて差別の目にさらされた。たたかれたり、言葉でいじめられたり。床に消しゴムやプリントを落としてしまい、拾えず困っていると素通りされた。

 ふつうの高校に通いたかった。ある私立高校は受験すらさせてもらえなかった。希望した県立の進学校は落ちた。その後、「名前を書けば受かる」と言われていた高校も落ちてしまった。

 〈身体の理由で不合格だったの…

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