【動画】昭和天皇が即位礼や大嘗祭などの儀式に臨んだ際の記録映像=日本電報通信社撮影・制作(音声はありません)

 1928(昭和3)年11月に京都で行われた昭和天皇の即位礼や大嘗祭(だいじょうさい)など、「御大礼(ごたいれい)」と呼ばれた一連の即位儀式の関連場面を撮影した記録映画フィルムが見つかった。広告会社・電通の前身にあたる日本電報通信社が撮影、制作したとみられる。

 映画は「輝く昭和聖代 御大礼の盛儀」と題され、4巻計16分(1巻4分)の構成。「日本電報通信社謹写(きんしゃ)」と書かれ、モノクロで音声はない。昭和天皇の即位時、主な儀式は京都御所で行われた。中核儀式である即位礼紫宸殿(ししんでん)の儀や大嘗祭そのものの場面はないが、御所に入る昭和天皇や香淳皇后の馬車列、装束姿の参列者、紫宸殿南庭に立ち並ぶ縦長の旗「旛(ばん)」などが映っている。お祝いの花電車や日の丸の旗を振る人々、奈良県橿原の神武天皇陵で参拝する天皇皇后の馬車列などの映像もある。

 元放送局社員の写真家西村力(つとむ)さん(70)が大阪府池田市にあった自宅で保管していた、祖父の遺品のフィルム22巻(計90分)の中から見つかった。祖父の羽尾末吉(はおすえきち)さんは戦前、16ミリフィルムのカメラで家族を撮影することもあったという。

貴重な記録ではないかと考えた西村さんが今年5月、映画フィルムの保存活動を進める「記録映画保存センター」=東京都千代田区=に相談。同センターがフィルムをデジタル化する中で今回の映像が含まれていることがわかった。フィルムは国立映画アーカイブ=同中央区=に寄贈され、低温低湿に保たれた専用の所蔵庫で保管される。

 今回の映画は日本電報通信社を引き継ぐ電通系の企業にも、国内外の貴重な映像を収集している国立映画アーカイブにも残っていない貴重なものという。

 同センターの村山英世事務局長は「戦前のフィルムは家族の私的な映像も含め、すべて貴重な歴史の記録。常温ではフィルムが劣化するので、ぜひ相談してほしい」と呼びかけている。(編集委員・北野隆一