玉置太郎
車いすで生活するバングラデシュ出身の高校3年生が、eスポーツの「パラアスリート」として、ゲーム会社への就職を決めた。国籍や障害を越え、輝くことのできる世界がゲームにあった。
がらんとした部屋の中央にパソコンが5台。5人の男子が画面にかじりつく。愛知県立城北つばさ高校(名古屋市)のeスポーツ部員たち。「たのむぞ」「いいねえ」。ひときわ響く声の主は、3年生ラハト・MD・マジドル・ホサインさん(18)だ。10年前、バングラデシュから日本に来た。3歳で交通事故に遭い、車いすで暮らす。
生まれ育ったバングラデシュでは、車いすで学校に通える環境がなく、家庭教師に勉強を教わった。親の仕事で来日後、初めて小学校に。日本語が分からず、わずかな英単語で意思を伝えるところから、学校生活が始まった。
父親に借りたスマホで「パズドラ」を遊んだのが、日本のゲームとの出会いだ。「こんなに楽しいものがあるんだ、って」。足の手術で1カ月近く入院した時には、母親が買ってくれた携帯ゲーム機「プレイステーション・ポータブル」にのめり込んだ。
中学生のころ、リハビリの一環で車いすバスケに触れた。中学校でもバスケ部に入ってみたい、という思いはあった。「でもまあ、できるわけなかったんで」。楽しみは、友達の家に集まって、ゲームをすることだった。
■eスポーツとの…
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