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 高齢者が「元気だよ!」などと書かれたカードを通信機器にかざし、ボタンを押すと社会福祉協議会に情報が送られ、安否確認や相談ができる。そんな情報通信技術(ICT)を活用して住民を見守る実証実験に、黒部市社協などが取り組んでいる。ゆくゆくは住民が互いに支え合う地域づくりにつなげたいという。

 実験を行っているのは同社協と日新システムズ(京都市)、情報通信研究機構(東京都小金井市)。75歳以上の高齢者だけで暮らす2地区計40世帯を対象に12月末まで実験して、実用化に向けた検証を行う。

 通信機器にカードをかざしてボタンを押すと、通信アプリを介して同社協のパソコンやタブレット端末に通知され、安否確認ができる。また、連絡を受けた同社協職員が電話をかけ、高齢者の困りごとなどに対応する。「お助け隊」「買い物、宅配」などのカードも配り、必要なカードを選んでもらうことで認知症予防にもつなげる狙いがある。

 自宅に機器を取り付けた稲場邦義さん(88)は4年半ほど前に妻を亡くし、現在は一人暮らし。「何かあった時に簡単に助けを求められ、安心」と喜ぶ。

 同社協は昨年4月、商店主や新聞配達員、ガスの検針員など地域の人たちで高齢者を見守る「くろべネット」を立ち上げた。今回の実験でも、タクシー会社や生活協同組合などとも連携して高齢者の暮らしを支援する仕組みを探る。また、今後は高齢者だけでなく、子どもや障害者らへも見守りの対象を広げたいと考えていて、ICTを地域の人たちがつながるツールにしたいという。

 同社協地域福祉課の浜松一美主幹は「人口が減る中で、ICTを活用して住民同士が支え合う地域をつくりたい」と話す。(野田佑介)

 住民同士が支え合う地域づくりにはどんなことが重要か。黒部市社協のアドバイザーを務める富山国際大の村上満教授(社会福祉)に聞いた。

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 少子高齢化が進む中、地域を持続させていくには、住民の自発的、主体的な取り組みが欠かせない。みんなで知恵を出し合い、わくわくするような取り組みを進めるためには、住民それぞれに何らかの役割を担ってもらうのがいい。

 例えば、若者が高齢者の部屋の電球を換えたり、高齢者が若い夫婦の子育ての相談に乗ったり。自分が何か貢献し、他者から認められていると実感できたら居場所ができ、住民同士のつながりも生まれる。

 地域には、障害があったり家に閉じこもりがちだったり、様々な人が暮らしている。社協は、まずは住民が互いのことを知る仕掛けを考えないといけない。ICTはその手段として有効だ。(聞き手・野田佑介)