110歳超の「健康長寿エリート」 カギは免疫細胞?
戸田政考
110歳以上の超長寿者「スーパーセンチナリアン」が、長生きで健康な秘密は何か――。理化学研究所生命医科学研究センターと慶応大医学部百寿総合研究センターの研究グループが、血液を詳しく調べたところ、特殊な免疫細胞が多いことが分かった。
スーパーセンチナリアンは非常にまれで、国内に約150人しかいない。一般的には、年齢とともに免疫力が下がり、がんや感染症のリスクが高まる。超長寿者はこうした病気にかかりにくく、100歳時点でも自立した生活をしている人も多い。「健康長寿のエリート」とも言われている。
研究グループは、免疫に特徴があるか調べるため、スーパーセンチナリアン7人と、50~80歳の5人の計12人の血液を元に、細胞を解析。その結果、免疫システムの司令塔役「T細胞」の構成が両者で大きく異なることを突き止めた。
特に「CD4陽性キラーT細胞」は通常、血液中に数%しか存在しないが、スーパーセンチナリアンでは約25%も含まれていた。ただ、なぜ多いのかや、どのような働きをしているかは不明だという。
理研生命医科学研究センターの橋本浩介・専任研究員は「T細胞の構成は年齢とともに変化する。免疫と老化、長寿の関係が分かれば健康寿命を延ばすことに貢献できるかもしれない」と話している。
論文は13日、米科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載される。(戸田政考)
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- 戸田政考(とだ・まさとし)朝日新聞記者
- 科学医療部記者。再生医療やゲノム編集などの基礎医学に面白さを感じ、現在は医療全般を取材。気候変動問題もライフワーク。フットサル年50回が目標。テンションとコレステロールは高め。