[PR]

 14日は世界糖尿病デー。名古屋大の研究チームは12日、インスリンを使わない新たな「1型糖尿病」の治療法の開発を進めていることを明らかにした。マウスを使った実験では、血糖値の低下を確認したという。実用化すれば、インスリンの皮下注射などの負担がなくなる可能性がある。

 1型糖尿病は、膵臓(すいぞう)でインスリンを分泌できなくなって起こる。国内の患者は推定10万~14万人程度とされる。インスリンを補充するための1日4~5回の注射のほか、乱高下する血糖値の管理が必要だという。

 研究チームは、脂肪細胞から分泌され、食欲を抑えるホルモン「レプチン」と、レプチンの働きを邪魔するたんぱく質に着目。1型糖尿病を起こさせたマウスに対し、レプチンと、邪魔するたんぱく質の動きを抑える薬を投与すると血糖値が下がったという。

 「中枢神経に作用し、血液中の糖が細胞内に取り込まれ、血糖が低下したと考えられる」と坂野僚一准教授(内分泌代謝学)は話す。今後、体内での詳しい作用の仕組みを調べる。「1型糖尿病の内科的な治療法は現在、インスリンの補充しかない。新たな手法によって患者の負担が減る可能性がある」と話す。

 1日1回のレプチンの注射か鼻へのスプレー注入と、薬の投与を検討している。名大はこれらの治療法を、国内で特許申請したという。また、患者やその家族でつくる認定NPO法人日本IDDMネットワーク(佐賀市)はこの研究に対し今年度から5年間、計1千万円の研究費を助成するという。(木村俊介)