天皇陛下の即位に伴う皇室行事「大嘗祭(だいじょうさい)」の中核儀式「大嘗宮(だいじょうきゅう)の儀」が14日午後6時半過ぎから、皇居・東御苑に建てられた祭場「大嘗宮」で執り行われた。即位に伴う一連の行事のクライマックスと言える行事で、前半の「悠紀殿(ゆきでん)供饌(きょうせん)の儀」には安倍晋三首相ら三権の長や各地の知事ら510人が参列した。

 新たに即位した天皇が、皇祖神とされる天照大神と全ての神々に新穀を供え、自らも食して国家の安寧と五穀豊穣(ほうじょう)を祈る一世一代の儀式だ。大嘗宮は大小30余りの建物からなる祭場で、天皇陛下は東の神殿「悠紀殿」で「悠紀殿供饌の儀」を、西の神殿「主基殿(すきでん)」で「主基殿供饌の儀」を行う。両儀式は同じ内容だ。

 午後6時半すぎ、大嘗宮北側の廻立殿(かいりゅうでん)を出発した天皇陛下の行列が、悠紀殿に到着した。薄明かりの中をゆっくりと進む陛下は、最も清浄で神聖とされる白絹の「祭服(さいふく)」姿だった。悠紀殿内部の陛下の様子は外からは見えないが、天皇陛下が神々に新穀などを供えて拝礼。五穀豊穣や国家安寧を祈る内容の御告文を読み上げ、自らもお供え物を食す。後半の「主基殿供饌の儀」は15日午前0時半過ぎに始まった。

 宮内庁によると、今回の儀式にかかる費用は総額で約24億4千万円にのぼる見通し。政府は、宗教儀式としての性格があるため国の儀式としなかった一方で、「皇位が世襲であることに伴う極めて重要な皇位継承儀式」であり、憲法で皇位の世襲制をとる以上、国が「挙行を可能にする手立てを講ずることは当然」として公費支出に踏み切った平成の方針を踏襲した。

 だが、公費支出をめぐっては、今も「憲法の政教分離原則に反する」との批判が根強くある。皇嗣の秋篠宮さまは、昨年の記者会見で「公費を支出するべきでない」との考えを表明。以前から宮内庁長官に伝えてきたことも明かしたが、宮内庁を含む政府内でこの方針について改めて議論された形跡はなかった。

 一方で宮内庁は経費節減のため、大嘗宮の建設にあたっては、屋根を萱葺(かやぶ)きから板葺(ぶ)きに変更したり、一部の建物を組み立て式にしたりするなど一部の仕様や工法を変更。大嘗宮の儀に招く人数の規模を前回の1千人から約670人に縮小した。大嘗宮は21日~12月8日に一般公開され、その後取り壊される。(中田絢子、長谷文)

【悠紀殿(ゆきでん)供饌(きょうせん)の儀の主な内容】

    (『平成大禮要話』などによる)

・神饌(しんせん)(お供え物)を調理する膳屋(かしわや)で、采女(うねめ)と呼ばれる女性らが臼と杵(きね)で、稲をつく所作をする「稲舂(いなつき)の儀」を行う

・東日本各地から届いた農林水産物が神々に示す供え物「庭積机代物(にわづみのつくえしろもの)」として並べられる

・楽師が古くから大嘗祭(だいじょうさい)で歌われてきた「国栖(くず)の古風(いにしえぶり)」、今回「悠紀地方」とされた栃木にちなんだ「風俗歌(ふぞくうた)」を歌う

・皇后雅子さまが帳殿(ちょうでん)で拝礼する

・膳屋から神饌を持った采女らの行列が悠紀殿に着く

・天皇陛下が悠紀殿の奥の間、内陣(ないじん)に進み、采女と呼ばれる女性らも悠紀殿内に入る

・内陣で天皇陛下が、新穀の米やアワのご飯、海産物や干し柿などを、竹製の箸を使い、カシワの葉の器に乗せて神々に供える。この所作に約1時間20分はかかるとされる

・天皇陛下が拝礼し、五穀豊穣(ほうじょう)や国家安寧を祈る御告文(おつげぶみ)を読み上げる

・天皇陛下が米とアワのご飯、これら新穀を用いた酒を口にする

・天皇陛下が悠紀殿を退出する