拡大する写真・図版高宮利行の書庫。貴重書に囲まれて暮らす=東京都渋谷区

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 本は、かく物である。

 英文学者の高宮利行(としゆき)(75)は「本は書き込むためにある」が持論だ。中世ヨーロッパ希少本の世界的コレクターとして知られる。

 「フィラデルフィアでシェークスピアの古書が見つかり、書き込みが多数あった。これがジョン・ミルトンのものではないかと思われているんです。本当なら文学研究で世紀の発見です」

 本は、かぐ物でもある。

拡大する写真・図版高宮が所蔵する英国の貴重書。持ち主の研究熱が、びっしりした書き込みで痕跡を残している

 高宮が招聘(しょうへい)した英国古書研究の大家が日本で講演したときの話。「ずっと居眠りしているのかという参加者がいた。質疑でやおら手をあげ『戦争を境に本のかがりの匂いが変わったと思うのですが』と聞くんです。講師は莞爾(かんじ)として『大変よい質問です』。糊(のり)の材質が変わったことを説明し始めた」

拡大する写真・図版菊地信義の仕事を追うドキュメンタリー「つつんで、ひらいて」より。12月14日からシアター・イメージフォーラムほかで全国で公開される(c)2019「つつんで、ひらいて」製作委員会

 菊地信義(76)にとって、本はなによりも「触る物」だという。1万5千冊もの本を手がけた装丁者。装丁をアートにまで高めた世界は、ドキュメンタリー映画「つつんで、ひらいて」になった。

 「たとえば『愛』といっても、…

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