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【科学力】

 スーパーコンピューターの性能をはるかに上回る量子コンピューターをめぐり、産業界と大学、国による研究開発協力が始まった。実用化まで時間がかかるが、世界を一変させる可能性のあるこの技術で日本がリードするため、国は現在の年間150億円の研究投資を倍増させて支援する方針だ。

 都内でこのほど、一般社団法人「量子ICTフォーラム」の設立総会が開かれた。東京大、大阪大、NEC、東芝や国の研究所の研究者らが参加し、特許などの知的財産の戦略や、技術の標準化で世界をリードする態勢などに向けた協力を確認した。

 量子コンピューターは「0」であり「1」でもある「重ね合わせ」という量子論の不思議な状態を利用して、多くの計算を瞬時にこなす。人工知能(AI)の性能向上や新素材の開発のほか、インターネットを通じた通信や商取引といった社会インフラに大きな変革を促すとみられる。実用化まで20年以上とされるが、各国で開発競争が激しくなっている。

 米国では、政府が今後5年間で1400億円を基礎研究に投資するほか、IBMが5年で3千億円以上を投資するなど企業も力を入れている。米グーグルは専門の研究所を作り、世界の一線の研究者を引き抜くなど競争をリードする。10月には、「開発した量子コンピューターで、現在のスーパーコンピューターで1万年かかる計算を約200秒で終えた」とする論文を、英科学誌ネイチャーに発表。量子力学的な効果を使う特別なチップを使い、スパコンの15億倍にあたる計算速度を出したという。ネイチャー誌はライト兄弟による動力飛行機の初飛行になぞらえ「量子コンピューティングが離陸する」とする解説記事も同時に掲載するなど、世界に衝撃を与えた。

 また、欧州は10年間で130…

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