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(17日、大相撲九州場所8日目)

 重そうな体当たりを2度、3度と見舞った。成長株の明生を寄せ付けず、貴景勝は冗舌だった。

 「勝ったから良かったわけではないし、負けたから悪かったわけではない。勝った、という大きな枠で考えていない。どう準備するか、どう食事を取るか、力を出し切るために、もっと細かい所で考えている」

 どこか求道者然とした、「らしい」言葉。元々、相撲についての受け答えは能弁だ。それが今場所は、場所前から無言を貫き、口を開くようになったのは前日からだった。

 先場所の優勝決定戦で左胸を肉離れし、全治6週間と診断された。リハビリを続け、今場所前には「痛みは全然ない」と言った。ただ6日目までに3敗。思うように圧力が伝わらないもどかしさもあっただろうか。

 好きなアスリートに、ボクシングのマイク・タイソンを挙げたことがある。180センチとヘビー級では小柄な体で世界3団体を統一した王者。三役以上で一番小さい175センチの自分と重ねるのは「気持ちで」立ち向かうファイトスタイルだ。

 精神力を大事にする23歳が、連日、見違えるような突き押しを見せた。白星を先行させた前日は、こう言った。「今、こういう成績だけど、諦めずにやれば優勝以上のものをつかめるかもしれない」。取り戻した大関の地位で、1年前に初優勝した九州で、存在感を見せるチャンスは残されている。(鈴木健輔)

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