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 能登半島の先端、石川県珠洲(すず)市。中世にこの周辺で盛んに生産され、幻の古陶(ことう)とされてきた「珠洲焼」が今年、復興してから40年を迎えた。

 珠洲焼は「還元炎(かんげんえん)焼成」と呼ばれる古代の須恵器(すえき)(高温焼成の硬質の土器)の技法を受け継ぎ、釉薬(ゆうやく)をかけず、黒灰色であることが特徴だ。12世紀に能登最大の荘園「若山荘(わかやまのしょう)」の成立を背景に登場し、最盛期には日本海沿岸の北陸から北海道南部まで販路を拡大した。戦国時代に入ると、量産化を進めた越前焼に押されるなどして衰退し、15世紀末に廃絶したとされる。

 珠洲焼は須恵器の製法に愛知県の常滑(とこなめ)、渥美(あつみ)、瀬戸(せと)のデザイン性を採り入れた。「たたき締め」によって生まれる綾杉(あやすぎ)文や、波状や帯状のくし目文、車輪や菊花状の刻印など、装飾文様の多彩さは、中世の焼き物の中でも際立つ。石川県指定文化財の「秋草文壺(あきくさもんこ)」は下部の波状文が水辺の風景を表現するとされ、4面にススキとハギ、柳を彫った優美な意匠には大和絵の影響も指摘されている。

 珠洲焼は戦後の調査で、常滑や…

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