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 カトリック系の幼稚園に通っていたが、私はいかなる宗教の信者でもない。ただカトリックは歴史の観点から眺めたときに、その存在のとてつもない大きさを感じる。世界に13億人の信者がいて、2千年の歴史がある。その一方で聖地奪還を目指して多くの血を流した中世の十字軍や魔女狩りなどの「闇」もある。

 3年ほど前に熊本・天草の教会を訪れた。迫害を受けた潜伏キリシタンの子孫が今もそこに根付いており、信仰の強さは人種に関係ないと思った。そういう信仰のあり方を要求する一神教、キリスト教のすごさを感じた。

 フランシスコ教皇は核兵器廃絶や死刑廃止などメッセージの発信も積極的だ。今回来日して発するメッセージは、世界の信者たちに意味がある。「私たちの教皇が、遠い東洋のヒロシマ・ナガサキで核兵器廃絶のメッセージを発した」と。

 教皇は核なき世界を強く訴えているが、日本政府は国連で採択された核兵器禁止条約に署名していない。来日を要請したのは不思議だ。教皇のメッセージに政府は応じるすべがなく、どうなることか懸念している。安倍晋三首相が教皇と歓談した、と世界に向けて宣伝するという政治利用をされるだけになったら、居心地が悪いことだ。

 日本人のうちカトリック信者は約0・3%。その人たちにとっては教皇のミサは一生に一度のすばらしい経験だろうが、その他の日本人には、「へー」で終わるだろう。そもそも13億人のトップに立つという教皇、ということがどれほどすごいことかピンとこない。言葉は悪いが、アイドルのように消費して終わりだと思う。日本人の多くは八百万(やおよろず)の神を信じるなど信心深い民族だと思うが、一神教の神を信じる人たちとは違う。

 だから日本人はこれを機に、21世紀においても宗教の持つ力を考えた方がいい。イエズス会出身の初の教皇だ。宣教師のザビエル、フロイス、日本の戦国時代に上陸した彼らの「末裔(まつえい)」が今の教皇だというところから興味を持ち、歴史的な理解をするのが望ましいかと思う。

 いま世界で起きている問題の多…

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