旧ソ連ラトビア出身の世界的指揮者、マリス・ヤンソンスさんが11月30日、サンクトペテルブルクの自宅で死去した。76歳だった。首席指揮者を務める独バイエルン放送交響楽団が12月1日、発表した。

 1943年生まれで、父は大指揮者のアルビド・ヤンソンス。レニングラード音楽院に学び、カラヤンに師事。70年代にレニングラード・フィルの副指揮者となり、巨匠ムラビンスキーの助手を務めた。ショスタコービチの交響曲演奏でとりわけ高い評価を得た。

 オスロ・フィルを経て2003年にバイエルン放響、04年にロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(RCO)の首席指揮者に就任。二つの名門を率いつつ各国で客演し、楽員との「信頼」を重視して個性を引き出す姿勢を貫いた。

 ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートの指揮を3回務め、日本もたびたび訪れた。心臓の病気で活動を制限し、今年10月にバイエルン放響で復帰したが降板が相次いでいた。

音楽評論家・東条碩夫(ひろお)さんの話

 すべての演奏が温かくヒューマンだった。彼へのブーイングはきいたことがない。人間性でオーケストラや聴衆をひっぱり、新たな音楽界の地平をひらいた稀有(けう)な名匠だった。