サックスの音出なくても… 吹奏楽部員が乗り越えた試練
床並浩一 飯島啓史
マーチングコンテストの全国大会への出場を決めた矢先、あの台風で練習場所や大切な楽器を失う試練に直面した高校生たちがいます。それから1カ月の間、地域のための活動を重ねた生徒たちは「一回り成長した」という実感を得ました。全国大会まであと4日――。奏でるのは、「被災者を励ますような情感」にあふれた曲です。
10月6日。秋田市であった東北大会に臨んだ帝京安積高校(福島県郡山市)は、2大会ぶり2回目の全国大会出場を決めた。その6日後、台風19号が地元を襲った。
学校の校舎は、近くを流れる阿武隈川やその支流の氾濫(はんらん)で1メートルほど床上浸水した。練習場所にしていた1階の多目的ホールは泥水につかり、クラリネットやトロンボーンなど20点ほどの楽器が使えなくなった。
楽譜も泥まみれになり、自宅…