老舗の織物技術を手軽に バッグや財布にデザイン生かす
佐藤亜季
京都で長年にわたり織物を手がけてきた「龍村美術織物」(京都市、龍村育社長)。豪華な美術品のような帯で知られ、航空機や鉄道のシート生地の製造にも手を広げている。最近は日本の伝統美術の良さを知ってもらおうと、比較的手ごろな価格で織物のデザインを採り入れたバッグや財布も販売している。
同社は1894(明治27)年創業。伝統工芸品や自然物をモチーフにした着物の帯を自社工場で手織りする。美術品のようなデザインで、価格は1枚100万円クラス。富裕層を中心に固定客は多い。
和装事業の売り上げは全体の3分の1で、そのほかにインテリアや内装事業として、建物の壁のクロスや、航空機・鉄道のシート生地を手がける。
国会議事堂や帝国ホテルなどで使われ、国内の航空機の多くのシート生地は同社製だ。東京メトロや新幹線などの車両のシートにも採用されている。「座席がふかふかなのは、創業以来培ってきた当社の技術力のたまもの」(龍村社長)
最近はバッグや財布などの小物にも力を入れ、数千円から買える商品を充実させている。龍村社長は「気軽に見てもらい、日本の伝統技術の良さを再発見してもらいたい」と話す。
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