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 ニューヨークに着任した石兼公博・国連大使(61)が19日、安全保障理事会の公開討論で、元国連難民高等弁務官で先月22日に死去した緒方貞子さんの功績に触れ、「平和構築の分野で真の先駆者だった」と述べた。国連が理念として掲げてきた多国間主義が揺らぐなか、緒方さんが掲げた「人間の安全保障」の重要性を改めて強調した。

 この日の安保理では、紛争地における平和構築と和解が議題になった。石兼氏は、緒方さんが2000年に安保理の場で「平和構築は抽象的な概念ではない」と演説していたことを紹介。「彼女はひどい分断が続く地域で、絶望的な窮状を目にしていた」と語り、緒方さんが民族や世代が入りまじる小さなコミュニティーへの支援に尽力していたことに触れた。

 緒方さんは、あらゆる脅威から人々の生存や尊厳を守る「人間の安全保障」の概念を世界に訴えたことでも知られる。石兼氏は「彼女の思いや行動は時代遅れではないと私は信じている」と強調。紛争地での和解プロセスのためには、女性や若者の声を取り入れることや、社会経済的発展を確かなものにすることが必要だと指摘した。

 石兼大使は18日に着任。19日に米ニューヨークの国連本部でグテーレス事務総長に委任状を提出した。(ニューヨーク=藤原学思)