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 台風19号による利根川増水で、深夜に行われた住民の広域避難が混乱した埼玉県加須市は20日、避難情報をきめ細かく発信するため市内4万7千の全世帯に防災ラジオを無償貸与するなど、災害対応で5億円余の補正予算案を発表した。防災ラジオは一般放送受信中でも強制的に防災無線放送に切り替わる。大橋良一市長は「混乱を反省し必要な対策を講じたい」と述べた。

 市は台風が通過した10月13日午前1時、利根川左岸の北川辺地区(人口1万1千人余)に避難勧告をしないまま、いきなり避難指示を発令。一斉に動き出した住民が利根川を渡って指定避難所のある騎西地区へ向かい、車列が10キロ超の大渋滞に陥った。午前2時には大利根地区などにも避難指示を出し、市内や県外への広域避難者は8500人を超えた。

 12日午後11時に市ホームページに掲載した避難指示の予告は実際には広く伝わっておらず、当時1千件近くあった問い合わせの電話は「防災無線放送がよく聞こえない」といった苦情が多かった。風雨が強まる中で住民に届く情報が足りず、混乱の一因になったと市はみている。

 防災ラジオでは災害発生時に川の水位情報なども加えることで、避難準備や実際に避難に踏み切る判断材料を住民へ多く提供できるようになる。1台約1万円で全戸で約4億7千万円。住民の申請で無償貸与する。市議会での議決を経て来年3月にも配布する。市によると、無償の防災ラジオ導入は県内では秩父市に次いで2市目。戸田市には有償の制度があるという。(高橋町彰)