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 大和市立病院は20日、日々の営業運転資金が間もなく尽き、経営が立ちゆかなくなる見通しとなったため、市の一般会計予算から緊急で10億円を借り入れる方針を明らかにした。公立病院は近年、診療報酬減額などを背景に厳しい経営環境にあるが、同院は、医師不足や働き方改革に伴う人件費負担増と、拠点病院としての設備投資もかさみ、赤字が膨らんでいた。

 大和市立病院は、県央医療圏唯一のがん診療連携拠点病院で、2カ所ある災害拠点病院の一つ。同院の経営戦略室によると、運転資金の現金残高は3億円以上が望ましく、年度当初は年度末まで残高を確保できると見込んでいたが、経営改善が目標に届かず、初めてマイナス(1400万円)に転落することが確実となった。

 病院事業会計に、市の会計から赤字補塡(ほてん)のため借り入れるのも初めて。市は10億円の増額を盛り込んだ補正予算案を26日開会の市議会に提案する。改善まで5年間据え置いた後、10年かけて返済する計画だ。

 同院の単年度収支は昨年度まで3年連続で赤字が膨らみ、今年度も昨年度(6億7200万円の赤字)並みの見通しという。

 同院は取材に、赤字の主な要因として、①内科などで医師の欠員により病床利用率が悪化②働き方改革で常勤職員の時間外勤務を減らすため非常勤職員の人件費増③高度医療のための放射線治療装置導入などによる昨年度の起債、と説明。病床利用率は2年続けて改善しそうだが、当初設定した目標を下回る見込み。起債残高は今年3月で51億円に膨らみ、償還は、26年前の病院建て替え時の分も続く。

 今年度からの新たな経営計画を策定できない状態も続く。経営戦略室は、病床利用率向上と医師確保を改善策にあげる。独立行政法人化や指定管理者制導入など業務形態変更や、病床の種類変更も課題とする。「地域に必要とされる医療機関として、幅広く最適な形を検討する」という。(吉村成夫)