日米協定、はや米側から不満の声 譲歩狙う次の交渉は…

有料記事

デモイン〈米アイオワ州〉=青山直篤
[PR]

 米下院で20日、日米貿易協定に関する公聴会が開かれ、米野党議員や業界関係者からは、合意内容が限定的なものにとどまったことに不満の声も上がった。日本政府は将来の「第2段階」の交渉で乗用車への関税の削減が約束されているとの立場だが、交渉が実際に本格化すれば、日本が不利になりかねない状況だ。

 公聴会は、野党民主党が過半数を占める下院歳入委員会の貿易小委員会で開かれた。議会の要請にもかかわらず、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表ら政権の交渉担当者は出席しなかった。

 「第1段階」の交渉を経て10月に署名された日米貿易協定では、本来必要な米議会での承認手続きが省略された。米側がかけている乗用車やピックアップトラックなどの関税削減を見送ったほか、他の工業製品の関税でも米側の譲歩が限られるためだ。

 ただ、民主党には議会との調整が不十分との不満が残り、「何も協定が結べないよりはマシだからいいというわけではない」(パスクレル議員)との声が上がった。

 米戦略国際問題研究所のマシュー・グッドマン氏は、日米間で貿易交渉がいったん決着したことで「台頭する中国への対応など、他の優先事項に集中できるようになった点では評価できる」と指摘。一方で「『第2段階』の合意に至るのは、少なくとも短期的には非常に難しい」との見通しを示した。

 一方、日本政府は乗用車の関税削減を第2段階で勝ち取るという建前だ。しかし、第1段階では日本側に米牛肉や豚肉の関税という強い交渉カードがあったにもかかわらず米側は譲らなかったことから、自動車分野で関税削減を得られる見通しはきわめて薄い。

 公聴会で全米自動車労組(UAW)のジョシュ・ナサー氏は「対日貿易赤字を本気で減らそうとするなら、輸入車の数量制限をするしかないだろう」と述べ、日本政府が絶対に避けたい「数量制限」の選択肢に言及した。

 オバマ前政権でUSTRの首…

この記事は有料記事です。残り417文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
今すぐ登録(1カ月間無料)ログインする

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません