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 プロ野球・日本シリーズで巨人を倒して3年連続日本一となった福岡ソフトバンクホークス。元球団代表が思い出したのは、19年前、巨人との対決でまさかの4連敗を喫したあの夜のことだ。当時の監督、王貞治さん(79)の姿が忘れられない。

 ホークスがクライマックスシリーズに勝ち、セ・リーグ覇者の巨人との対決を決めた直後。元球団代表の瀬戸山隆三さん(66)のもとに、ホークスの王貞治・球団会長からメールが届いた。

 「巨人を倒して真のチャンピオンになります。興奮してきました」

 瀬戸山さんは「やはり、あの時の悔しさを忘れていなかったんだ」と思った。

 ダイエーの社員だった瀬戸山さんは南海電鉄からの球団買収に関わり、福岡ダイエーホークスの設立時から出向した。王さんを福岡に呼ぶ特命を担ったのも瀬戸山さんだった。

「ON」対決めざして

 「俺の後任はワンちゃん(王さん)だ。20世紀中に必ずON(オーエヌ)対決をやる」。福岡ドームができた1993年から指揮を執った根本陸夫監督(故人)は瀬戸山さんに言った。

 巨人の黄金時代を築き、「ON」と並び称された王貞治と長嶋茂雄。王ホークスを誕生させ、長嶋監督の巨人との日本シリーズで球界を盛り上げるという構想だった。

 根本氏は「口説き文句」も用意していた。「巨人ではこの先もずっと長嶋さんが長男、あなたは次男だ。ドームはあなたのためにつくった。ホークスの長男として福岡に来てほしい」

 瀬戸山さんは王さんとの面会を重ねた。固辞していた王さんは半年後、首を縦に振った。95年からチームを率いたが、勝てない苦難の時期が続く。

 最下位に終わった96年には屈辱の「生卵事件」があった。チームに同行していた瀬戸山さんは一部始終を見ていた。

 5月9日、大阪・日生球場での近鉄戦。試合前から王監督に不満を募らせるファンから発煙筒が投げ込まれ、不穏な空気が漂う。敗れた試合後、怒ったファンが球場を取り囲み、バスに乗り込もうとする王監督や選手に生卵を次々に投げ付けた。

 「石も飛んできた。『標的』になった王さんはバスへ向かう途中、震えていらっしゃいました」と瀬戸山さんは振り返る。だが、王監督はバスに乗り込むとナインの方に向き直って言ったという。「おい、みんな。何でこんなことになるか分かるか。俺たちが負けるからだ。悔しかったら勝とうじゃないか」

 チームは闘う集団に変わり、20世紀最後の年、ついにON対決が実現した。王監督の気合はすさまじかった。

 「ある意味で巨人を捨てて福岡に来た。来たからには巨人を倒したい。そして、直接の勝負で長嶋さんの上に立つんだ、という思いが強くあったのではないか」と瀬戸山さん。

まさかの…

 だが、ホークスは敵地で連勝し…

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