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 漆塗り発祥の地と伝わる奈良県曽爾村が村森林組合などと連携し、漆を軸にした新たな産業づくりなどを目指す「山と漆(大和漆)プロジェクト」を進めている。その一つ「漆の森づくり」の第一歩として21日、村内で漆の苗木150本を植樹した。

 同村では、漆文化の復興を目指し、塩井地区の住民が2005年に「漆ぬるべ会」を設立。漆の木を植えたり、漆の工芸品を開発したりしてきた。村も18年に同地区の古民家を漆復興拠点施設「ねんりん舎」に改修した。だが、同会の会員が高齢化し、国産の漆が不足している現状もある。漆を使う人たちの協力を得て村を挙げて漆文化の復興に取り組むことにした。

 植樹は、村が所有する長野地区の山の斜面約2千平方メートル(国天然記念物・屛風(びょうぶ)岩の南側)で行われた。村森林組合員や漆ぬるべ会会員ら約20人が参加し、青森と茨城の両県で栽培された2種類の苗木(大きなもので高さ50~60センチ)を植えていった。植樹に先立ち、芝田秀数村長は「村の発展と漆文化の継承のために官民一体となって取り組みたい」とあいさつした。

 今後年間200本程度のペースで村内各地に苗木を植え、10~15年後から樹液を採取していくことにしている。このほか、漆器づくりの講座を開くなどして漆塗り師や樹液の採取者らを養成し、曽爾産漆の工芸品開発や漆を使った家具のリメイクなどに取り組むことを検討していく。県内に伝わる国宝・重要文化財の漆芸品などの修復に曽爾産漆を使ってもらえるようにすることも考えている。(石川和彦)