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 理化学研究所の研究者として、どんな細胞にもなれるiPS細胞を世界で初めて臨床に応用した高橋政代さん(58)は、「iPS細胞の研究は私の活動のごく一部。臨床医として、患者さんのためにできることは何でもやる」という。再生医療の普及に向けた課題や将来について、人工知能やバーチャルリアリティー(VR)を通じて人の意識に働きかける研究をしている大阪大の佐久間洋司さん(23)、課題解決型アパレルブランドの会社を経営するハヤカワ五味さん(24)と語り合った。

本業は臨床医、iPS研究は活動の一部

 佐久間 iPS細胞による加齢黄斑変性の患者さんの治療のきっかけは何ですか。

 高橋 1995年の米国ソーク研究所への留学がきっかけです。神経の病気を幹細胞で治療する最先端の研究が行われていました。実は目の網膜は視神経経由で脳とつながっています。「目の病気も治せるのでは」と気づきました。「私が治療法を作らなかったら、5年ぐらい遅れるな」と思ったのです。

 でも神経幹細胞はなかなか増えないことがわかり、iPS細胞と同じような性質を持つES細胞(胚(はい)性幹細胞)を使うことにしました。治療目前まで来ましたが、高齢者が多い疾患を対象にと思っていたので免疫拒絶反応が問題だと思いました。そのときiPS細胞が出てきて「これで最後のハードルが越えられる」と思ってiPS細胞に移りました。iPS細胞はあくまで材料ということです。

 私はiPS細胞の研究者として紹介されることが多いですが、それは私の活動のごく一部です。臨床医が本業です。医療では視点を偏らせることなく、物事を俯瞰(ふかん)して見ないと駄目です。日本の再生医療は基礎研究もビジネスも両方が見られる立場の人がやっていて結構いいと思います。

 ハヤカワ 治療で目指すのは何ですか。

 高橋 患者さんの生活がよくなるなら何でもするという「トータルサポート」ですね。そのために理化学研究所の研究室と病院、公益法人、そして「ビジョンケア」という会社の四つからなるシステムを2年前に作りました。他の三つがうまく回り始めたので、この夏最後の仕上げとして理研をやめて会社に移りました。

 ハヤカワ そういう仕組みは再…

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