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 男性同士の恋愛を描き、「ボーイズラブ(BL)」と呼ばれるジャンルのテレビドラマが、東南アジアのタイでキラーコンテンツ化している。日本ではドラマ「おっさんずラブ」が映画化もされて人気だが、タイでは女性を中心とした熱狂的ファンが周辺の国や地域に広がっており、韓流もののような世界的流行になるとの見方も。人気の背景をさぐると、意外な事実も見えてきた。

 10月7日、タイのツイッターのトレンドで一時、「ターン・タイプ」という言葉が1位になった。この日にテレビで放送が始まったBLドラマのタイトルだ。主人公の男子2人がキスすると、女性ファンらのつぶやきがネットを駆け巡った。

 東南アジアや中華圏では、2000年ごろからずっと、Kポップをはじめとする韓国文化が人気の中心にありつづけてきた。

 そんななか、タイでは5年ほど前から、テレビなどでBLドラマが放送されるようになった。今年は少なくとも17作品が公開され、すでに来年に放映される複数のBLドラマも明らかになっている。ドラマだけではない。17年のリップクリームのテレビCMでは、教室で同級生にキスしようとした男子高校生が「寸止め」して、相手の唇の乾燥を指摘してリップクリームを渡す場面が話題になった。

 「KポップよりTウィンド(タイの風)」。近年はそんな評価がされるようになり、BLドラマを核とするタイ文化はタイを越えて各地へ広がっている。

 人気BLドラマを連発しているプロデューサー、ジャルポーン・カントーンオップクンさんは言う。

 「タイではもう、男性同士の恋愛ドラマは『サブカル』ではなく、メインストリーム。タイがBLドラマの世界の中心地になる」

 この流れはどこから来たのか?

 その答えは、タイでBLを指す言葉として使われる「Y(ワイ)」にある。これ、なんと日本でBLと同義語とされる「やおい」の頭文字なのだ。

 「やおい」は「やまなし、おちなし、いみなし」を意味する造語。漫画ファンらが自ら同人誌に描いたBL作品を自嘲して、そう呼ぶようになったとされる。

 その日本の「やおい」漫画が、タイで海賊版でじわじわと人気となり、今の大流行の下地を作った。いまや、タイのBLドラマは字幕をつけてくれる有志ファンのおかげで日本に還流し、日本のファンの間で「激おすすめ」されるようにまでなっている。(守真弓)