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 政治とカネの問題が浮上するたびに注目される政治資金収支報告書は、毎年11月に公開される。「桜を見る会」をめぐっても、報告書への記載の有無が論点となっているが、国などが保存を義務づけられているのはわずか3年間。民間団体が保存し、無料公開を続けるが、資金難に事業存続が危ぶまれている。

 報告書は政治資金規正法に基づき、11月30日までに前年分を総務省や都道府県選挙管理委員会が公開する。法律上の保存期間3年を過ぎれば廃棄されたり、非公開になったりしていく。総務省は26日、3年前に公表した2015年分の廃棄に着手。インターネットで公開していたPDFファイルも削除した。今後、執務室内にあるシュレッダーで文書も細断していくという。

 過去の疑問をさかのぼって調べられなくなる――。こうした危機感に基づき、16年に弁護士や学者らが設立したのが、公益財団法人「政治資金センター」(大阪市)だ。報告書のデジタル化と永久保存を目的とする。これまでに国会議員関係を中心に約3300団体の11~17年分の収支報告書2万5千件をデジタル化。ネット上で無料公開中だ。

 選管への開示請求などをして、全国から資料を収集。紙の報告書をスキャナーでデジタル化する。文字検索も可能になり、例えば、企業名で検索すれば、その企業が寄付した政治団体の一覧がわかる。

 桜を見る会が注目を集めた今月上旬は、1日平均20~30件だった公開サイトへのアクセスが急増。10日からの1週間で1034件を記録した。「安倍晋三後援会」が主催する前日の夕食会のお金のやりとりが、報告書に記載されていないことが国会で問題視されており、アクセスの半分ほどが同後援会のページだった。

 活動の悩みは、資金の確保だ。機械による文字の読み取りミスは、学生アルバイト3~4人が修正作業を行うため、人件費がかさむ。全国から報告書を集めるための手数料や郵便代もばかにならない。年間500万円は必要だという。

 センターの立岩陽一郎理事は「このままではあと2、3年しか活動を継続できない」。設立時約2千万円あった原資はすでに半減。昨年は何とか420万円の寄付を集めたが、センター役員が自身の仕事で得た報酬やボーナスなども充てたという。

 今後は、ネットを使ったクラウドファンディングや、セミナー開催による資金集めも検討している。立岩さんは「デジタル社会なのに3年過ぎれば廃棄することがそもそもおかしい。報告書の長期保存を義務づける法改正まで活動を続けたい」と話す。

 同様の取り組みが滞っている例もある。NPO法人「ドットジェイピー」は16年、グーグルからの助成金2500万円を元手に、報告書のネット公開を開始。14、15年の2年分をデジタル化して公開したが、システム開発費やデータ入力の人件費で、1年半で資金が尽き、更新が止まった。同法人の山本敏治さんは、選管がネット公開していても、内容を文字検索できない状態のデータしかなく、一般の人には読み取ることが難しい、と指摘。「政治資金規正法が、今のテクノロジーを想定していないことが課題」と語った。(加茂謙吾)