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 来日中のローマ・カトリック教会トップ、フランシスコ教皇が25日、都内で東日本大震災の被災者と面会した。東京電力福島第一原発事故による避難者の「証言」を聞いた教皇は、演説の中で「将来のエネルギー源について、重大な決断がされなければならないだろう」と言及。事故の復興が進まない現状に触れ、エネルギーとして核を利用することからの転換を訴えた。

 教皇は、原発事故によって「科学的、医学的な懸念に加え、社会の構造を立て直すという大きな課題が残った」と指摘。問題の解決が進まないことから、日本の司教団が、原子力の使用を続けることに懸念を示し、原発の廃止を求めていることに触れた。

 その上で、「我々の時代は人間の発展を技術的進歩で測ろうとしてきた」とし、「このような技術中心主義が、しばしば人間や社会のあらゆる面を縮小させてきた」と述べた。最も重要なことは「立ち止まって、我々がどうありたいのか、批判的に見つめ直すことだ」と提言。「ただ自己中心的な決断をすることはできない。我々には将来の世代への責任があるということを、認識すべきだ」と訴えた。(河原田慎一)

菅長官「核抑止、安全保障の基礎」

 被爆地の長崎と広島を24日に訪れたフランシスコ教皇が、演説の中で否定した核抑止力について、菅義偉官房長官は25日午前の記者会見で、「核抑止力を含めた抑止が、我が国の安全保障を確保していく上での基礎であることに変わりはない」と述べた。

 教皇が米国の核の傘に入る日本を暗に批判したのに対し、日本政府として従来の方針を変えない姿勢を示したものだ。

 菅氏は会見で、日本は唯一の戦争被爆国として核廃絶に向けて国際社会をリードする使命があるとする一方、「安全保障上の脅威に適切に対処しながら、緻密(ちみつ)に、現実的に核軍縮を前進させる道筋を追求していく必要がある」とも話した。

 日本が署名していない核兵器禁止条約をめぐっては「条約が目指す核廃絶というゴールは共有している」としつつ、「現実の安全保障を十分に踏まえておらず、非核兵器国から支持を得られていない」と語った。

【動画】38年ぶりに来日するローマ教皇、どんな人?